311から1年


去年の今頃、いつも焼き鳥屋で管をまいて気がします。


電車がまったく動かなくって、大変ということはわかっても全容がしれないままで、
ただただ共感できる人を待っていました。
だんだん事態が明らかになるにつれて、原発の話題が生活の中心となっていて気がします。
一緒に住んでいる友人と夜な夜な陰謀論に近いノリで事態を推測する日々が続きます。
振り返ってみるとその予想は悪いほうに当たっていたわけで、
するどい見通しがあったとしても結局は無力だということを痛感しました。


ご存知の通りその時期は失業中で、生活には困っていなかったのですが、
不安定な身分なもので気持ちも安定していませんでした。
そんな中「守る」について考えるようになりました。
僕はどちらかというと、どこまでアクセル踏めるかという、
短期間で物事を最適化して答えを実践していくタイプで、
一般的にいえばわりとリスキーな生き方だったと思います。
そんな僕が守りたいものがあることに気づいたのです。
大げさなものではありませんが、
僕がなんらかの関係を築けた人に幸せになってほしいと素直に思えるようになりました。
実際、望郷の念が芽生え石川に帰ることを真剣に検討していました。
いろいろあって帰っていないわけですが。
そういうことは無しにして「守る」を実行する方法について考えるようになったのです。


そのときは職もなかったので、自分のことで精一杯だったわけなのですが、
自分より危機に面している人を感じて、
自分の無力さに腹立たしくもあり情けなくなったり、もう大変でした。
ただ変に内面に向かわず安定していたように感じます。
圧倒的外部の干渉は内面に向かう暇を与えないと言いいますか、それどころじゃなかったのです。


そしてひょんなことから地震保険のサポート業務に就くことになります。
その前に寂しくなって元カノとよりを戻していたりしたのですが、特段書くことは避けます。


地震保険のお仕事は非常に心がすり減るものでした。
基本的には対物の話で人の感情が入る隙間がない業務でしたが、
契約している人は個人の方で、揺さぶられている感情を誰かに伝えたくしかたない人ばかりです。
僕が最初に日に共感できる人を待っていたと同じように、ずっと待っていたのでした。
最初の頃はそういった感情にのまれ食欲もろくにない状況でしたが、
人間とは残酷なものでそういった状況にもなれ淡々と業務をこなすようになりました。
そして時間を見つけては観光地に赴いたりと(本当はいけないことですが)自分を楽しませていました。
楽しんでいたかわからないのですが、笑顔を充電していました。
ここでは書ききれない話も多いので実態については割愛しますが、
僕は被災地に身をおいて足下を見つめる作業から始めたわけです。


最初はやっぱり興味本位でした。
でも僕も傷ついていたんです。
傷はなにかアクションを起こさないことには発見できず、治すこともできないものでした。
幸運にもその業務で自信を取り戻すことができて、前向きになりました。


それも簡単なきっかけです。
僕は集められたオジさんたちのマスコットであり、管理者でした。
最初から管理者だったわけではなく、徐々に昇格です。
通常ならそういうことはないのでしょうが、非日常の世界なにがあるかわかりません。
役目を与えられて人間として活力が戻ってきたのです。
ひとつの転機です。


またもうひとつ大きな出会いがありました。
この年を考えると恥ずかしいのですが、恋をしました。
最初にあった瞬間からなんとなく仲良くなりたいと本能でそう思った人です。
それも運命的に、実際は業務的にだけど、再会することができて仲良くなりました。


彼女は非常にできた人間で
常にリスクを背負いながら自分の好きが世界をつくっていく覚悟がありました。
見ていてさわやかな気持ちになります。
多少、いやこれは僕にもいえることですが、
正しすぎるところがあり、詰めが甘いことがあります。
具体的にいうと突き詰めることができるが、
期待した成果を必ず得られるかどうかは相手次第みたいなところです。
そういうところも含めて可愛らしいと思いました。
振り返って何をいっても無駄なので、これぐらいにします。
そういった出会いもあり順調かのように思っていました。
なにより浮かれてました。
今思っても楽しい日々です。


でもお別れすることになります。
原因は僕にあります。
仕事も決まらなくてまた自信を失い、そのうち彼女に依存するようになりました。
ただ彼女に嫌われたくないと思い過ごす日々はお互いにとって良いものではありませんでした。
彼女は現実と理想のギャップに苦しみ、主体性のない僕にイライラを募らせ、
彼女の手で決着をつけることとなります。


文章にするとあっという間ですが、真剣だったことだけは明記しておきます。
いい年ですので、未来を想像もしていましたし、僕は本当に好きでした。
ただやっぱりそのときは自信も実力もなく僕にはなんの価値もなかったので、
この結果でしかたなかったのです。
いま思うことはこの過ちを二度と繰り返しはしないぞということでだけです。


そうこうしているうちに仕事が見つかりました。
決まる時は不思議なものであんなに決まらなかったのに、4社から同時にいい話をいただきました。
その中の1社にいまも務めています。


その会社はオフィス家具の販売会社です。
前職では家具は家具でももう少しラグジュアリーなものを扱っていたので、
まったくの新ジャンルです。
建築の話もそこそこしか出てきません。
でも非常におもしろく感じています。


最大の魅力は評価がシビアだということです。
営業だから成績の話もありますが、お客様からの要求に対する評価がシビアなのです。
つまり空間になんらかの投資目的がありそれが果たされているかどうかに重点をおいてプロジェクトを判断します。
建築の仕事だと大きくなりがちでそういった実空間はセンスのよさとか曖昧な基準で判断されがちです。
ですが家具は直接ワークプレイスに関わるもので誰でもある一定以上の評価ができます。
建築業界のもつ詐欺っぽさ曖昧さより少ない形で空間に関われるチャンスができて、
勝手に楽しんでいます。
日々の仕事はクリエイティブなものとは到底いえませんが、仕事なんてそんなものです。


あとお客様が外資企業が多いと環境というのもおもしろいです。
前述の評価の話につながるのですが、彼らは明確にワークプレイスを投資の対象として管理しています。
簡単にいえば、作業効率を上げる手段として家具を含めた空間を見ているということです。
そのため日本企業に比べてオフィスにかける金額が違います。
そして狙いがはっきりしています。
新しいからいいのではなく、この目的を果たすために良いものだから導入するといったようにです。
この辺が建築っぽいものの考え方で僕は好きなんです。
これに付帯的に英語に触れる環境があるというのもいいと思っています。


もうひとつ、これは小さい会社だからかもしれませんが、家具販売以外の業務もやってます。
プロジェクトマネージメントといったものとあとはコンサルです。
プロジェクトマネージメントというのは、プロジェクトの進行を行う業務です。
与件を与えられ、デザイン会社を選定し、家具を決めて、ワークプレイスをつくるそんな感じです。
コンサルは与件を整理する仕事です。
僕は販売業務に慣れてきたらこういう業務に積極的に携わりたいと考えています。
モノで勝負するよりは、人で勝負したいのです。


というところで仕事に日々邁進しています。
細かい話をすると僕でも愚痴っぽくなってしまうので、遠慮させていただきますが、
上の人たちに可愛がられながらそれなりにやっております。




これまで時系列的に1年を振り返ってきましたが、
大きく変わったのは考え方です。


まず守るという意識ができたこと。
これはけっして保守的になったということではなく、自分以外にも大切な存在があることに気づいたということです。
故郷とか親とか親戚とか、友達とか地域のつながりとか僕の力が許す限り大切にします。
そのために余裕を身につけなければいけないのです。
わかりやすい目標を掲げます。
年収1000万円。
インセンティブではなく仕組みとして得られる報酬でです。
そうなればプライベートでもできることが増えるし、仕事を通して貢献できる範囲も広がります。
30代中に目処はつけたいところです。


また上流行程で勝負するということです。
僕は不運にも考えることを面倒だと思わないタイプの人間です。
なので誰かの代わりに考えるということを仕事にしようと思います。
まだまだ実際手を動かしチェックするといった難しくもないけど面倒な仕事しかできていません。
そこに居続ける必要はありません。
結果重視で攻めていきたいと思います。
これまで資格なんてモノは能力がない人が能力を補うための証明書ぐらいにしか思っていなかったのですが、
そういうものが利用できるのであればとことん利用します。
手始めに地震保険のお仕事の総括の意味を込めて損害鑑定人資格を取得しました。
そして今年の最大の目標は一級建築士です。
貪欲にしたい仕事をするためにがんばります。
適当なところで満足なんかしません。


もうひとつ、過去に対する捉え方も変わりました。
僕は責任は積極的に取りたくないほうです。
適当に責任を果たすとかぜんぜんできないので、
どんな些細なことで責任があるなら全力でやらないと気がすみません。
あとどちらかというとコレクション気質の完璧主義者です。
なのでうまく行かなかった過去や現在から振り返ってつじつまの合わない過去については、
できる限り無視したいと常々意識してきました。
でもいろんなものが急速に失われる現実に直面して、
自己正当化のためだけに過去をないものとして扱うのはどうかと思うようになりました。
むしろ黒歴史も含めてちゃんと背負っていかなくはいけないと。
だから今回のダイアリーでもなるべく素直に書いたつもりです。
これからは取り繕うより大切にすることを選びます。


男社会に来たのでちょっと攻撃的な気がしますが、
それもまた一興です。
311を振り返るとかいいつつも自分の話だけですみません。
でも僕はジャーナリストでも政治家でもないので、
現状の把握や対案の作成なんてものに興味はありません。
むしろどう生きていくか、それこそが重要なんです。
あんまり読んでほしくないせいか構成ができていない文章です。
キーボードに1時間以上向かって考えるのもいいものです。
やっと新しいフェイズに入る準備が整ったようです。
あとは走るだけだったらいいのですが、先一年も迷いながら、
でも忘れないで突き進んでいきたいと思います。




いろいろ書きました。
長々とちゃんと読んだ人はいないと思いますが、もしもためにお礼をさせて下さい。
どうもありがとうございます。